七十二候

玄鳥去(今年のつばめの記録です)

玄鳥去、つばめさる。ツバメが南へ帰っていく頃。 4月の初めに「玄鳥至」、つばめいたる、というのがあって、その頃に南から来たツバメたちが、産卵と子育てを終えて南へ去っていくのがこの時期ということらしい。が、もうずいぶん前からツバメは見ていない…

鶺鴒鳴(追うほどに)

鶺鴒鳴、せきれいなく。セキレイの鳴き声が聴こえる頃。 日本で見られるセキレイは主にハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイの三種だが、繁殖期はどれも春から夏だし、この時期に鳴くってどういうこと、と調べていると、どうやらハクセキレイはかつては…

草露白(この水は)

草露白、くさのつゆしろし。草に露が降りて白く光る頃。 お久しぶりです。だんだん秋の気配が濃くなり、気持ちに余裕も出てきたので、復活することにしました。またよろしくお願いいたします。 夏の間は本当にしんどくて、とにかくもう生き延びることだけを…

蓮始開(淀みのなかに)

蓮始開、はすはじめてひらく。蓮の花が咲きはじめる頃。 蓮は泥の中で発芽し、すっと伸びて、汚れなど知らない顔で美しく咲く。しかも大きな葉は水をころころと弾いて、雨が降っても風が吹いて土埃が舞っても、やはり汚れることがない。ひとことで言って清浄…

温風至(熱風の来て)

2日遅れました。温風至、あつかぜいたる。暖かい風が吹いてくる頃。あつかぜ、というくらいだから暖かいというより熱い風か。夏の湿った南風。 湿気をたっぷりと含んだ熱風にあたると、苦しくなる。体じゅうの毛穴が湿気で塞がれて、息ができない、皮膚呼吸…

半夏生(この夏の半分を)

半夏生、はんげしょうず。烏柄杓(カラスビシャク、漢名を半夏)が生える頃、または半夏生というその通りの名をもつ草の葉の裏が白くなる頃、ということだが由来がふたつあるのは半年ちょっと見てきて初めてではなかろうか。 由来ははっきりしないものの、半…

菖蒲華(永遠なんて)

菖蒲華、あやめはなさく。アヤメの花が咲く頃。とはいうもののアヤメの花期は5月、同じアヤメ属でよく似ているカキツバタも5月。6月から7月に咲くのはハナショウブ、漢字で書くと花菖蒲、ということでこの「菖蒲」は花菖蒲のよう。 ↓見分け方などはこちらを…

乃東枯(ひかりを連れて)

乃東枯、なつかれくさかるる。夏枯草、ウツボグサが枯れる頃。 今回は夏至の初候で、半年前、冬至の初候が乃東生、なつかれくさしょうず、であった。 ↑読まなくても大丈夫です いちばん夜が長い、陰陽の陰の極みである日、死にいちばん近い日、それはすなわ…

梅子黄(ふれてふわりと)

梅子黄、うめのみきばむ。梅の実が黄色く熟す頃。 春に花が咲いた時は意識するけど、花が散って葉が生い茂ってしまうと、その木が梅の木だということを忘れがち。逆に枇杷や花梨は、実が大きくなって色づいてきて初めて、これは枇杷の木だったのか、と気づく…

腐草為蛍(星にまぎれる)

腐草為蛍、くされたるくさほたるとなる。腐った草が蒸れて蛍となる頃。突然のファンタジーにどきりとする。もちろん実際には草が蛍になるわけではなく、湿った草の影から蛍が出てくるだけなのだけど、昔はそう思われていたとか、いないとか。 語感がとてもい…

螳螂生(死ぬまで武器を)

遅れてしまった。一昨日までの七十二候、螳螂生、かまきりしょうず。カマキリが生まれ出る頃。孵化は4月から5月と書いてあるものも多いが、生まれてちょこちょことあちこちに出没しはじめる時期、ということか。 カマキリに出会うと、おおっ、と思う。出た、…

麦秋至(秋はまだか)

麦秋至、むぎのときいたる。麦が実り、収穫される頃。麦秋というやつですね。 麦が芽吹くという候があったけどいつだったろう、と振り返ってみると、年が明けて最初の候が、雪下出麦、ゆきわたりてむぎいずる、であった。5ヶ月前だ。 ということは七十二候に…

紅花栄(おもひでぽろぽろ)

紅花栄、べにばなさかう。紅花が咲きそろう頃。 最近の七十二候は実際の季節に沿っている感じだったが、紅花は夏の花で、咲くのは6月から7月ということなので、やや早い。 紅花はたんぽぽのように黄色く咲き、次第に赤くなる。花には水に溶ける黄色い色素と…

蚕起食桑(蚕室の令嬢)

蚕起食桑、かいこおきてくわをはむ。蚕が目覚めて桑をどんどん食べる頃。 養蚕の歴史は三千年とも五千年ともいわれている。蚕は完全に家畜化された虫で、野生には存在しないし野生下では生きられないのだという。白くて目立つうえに敵から逃げる素早さも身を…

竹笋生(竹と後悔)

竹笋生、たけのこしょうず。筍が生えてくる頃。 いまさら筍?と思ったらこの筍は孟宗竹ではなく、日本原産の真竹のことらしい。真竹の旬が今の時期。 住んでいるアパートの敷地の裏手にはちょっとした竹藪があり、春になると、そこから地下を這って進出して…

蚯蚓出(毒ミミズの夢)

蚯蚓出、みみずいづる。冬眠していたミミズが地上に出てくる頃。冬眠って。もう夏である。啓蟄から遅れること二ヶ月、ようやく出てくるらしい。のんびりしたものである。 今回ミミズについてあれこれ調べてみたけど、例によってゲシュタルト崩壊してミミズが…

蛙始鳴(歓びの歌)

5日から昨日までの七十二候、蛙始鳴、かわずはじめてなく。蛙が鳴きはじめる頃。 二十四節気では立夏。暦上は夏だ。と書きながら一昨日から寒い。しまったばかりの冬服を再び出して着ている。 蛙が出てくるのは啓蟄の頃、巣ごもり虫が戸を開いた3月上旬だが…

霜止出苗(田んぼの話)

霜止出苗、しもやんでなえいづる。霜が降りなくなり、稲の苗が生長する頃。例によってもう終わっています、昨日、もとい日付的には一昨日、まで。 4月半ばに一週間ほど子供とふたりで実家に帰省した。うちは農家ではないのだが、自分たちで食べるだけの米は…

葭始生(イネ科の切り傷)

もう遅れすぎて自分でもよくわからなくなっていますが、一応順番通りに追っていきます。もう3日ほど前に終わっていますが、二十四節気の穀雨の初候、葭始生、あしはじめてしょうず。葦が生えはじめる頃。前回の虹始見に続いて、はじまるシリーズですね。 葦…

虹始見(誰かと見ること)

このところ子供の夜泣きが激しく、日中の過ごし方もいろいろ思うところあって、「不測の事態が起きない限り続ける」宣言をしたばかりですがしばらくお休みします、とご報告するつもりで記事編集画面を立ち上げたところで、ああーでもやっぱりもう少しがんば…

鴻雁北(いつか見たはずの)

鴻雁北、こうがんかえる。雁が北へ渡っていく頃。雁、は「がん」であり「かり」、どちらも同じものらしい。ツバメが来たかと思ったら雁が去っていく。ツバメは南で越冬して日本で子育てするが、雁は越冬のため日本に来て、北に帰って子育てをする。つまりツ…

玄鳥至(一候遅れ甚だしい)

また間に合わずに次の候になってしまった。 玄鳥至、つばめきたる。ツバメが南から渡ってくる頃、が昨日で終わりました。 何を書こうか、ツバメで検索してあちこちのサイトを読み漁っていたのだけど、ツバメの文字を見すぎてツバメなんだかシバメなんだかわ…

雷乃発声(遠くで呼んでる)

雷乃発声、かみなりすなわちこえをはっす。遠くで雷鳴がきこえる頃、ということだが、遠くとは。日本じゅうどこにいても遠く? そんな場所があるの? 空の上? 春の雷は、寒冷前線が通過する際に、南からの暖気が勢いよく流れ込んでくると発生するらしい。冬…

桜始開(一候遅れのいまさら)

桜始開、さくらはじめてひらく。桜の花が咲きはじめる頃。 一候遅れでぐだぐだだけど、この候に切り替わった頃、私の周りでもまさに桜が咲きだした。去年の日記では4月4日に三分咲きと書いてあるので、去年より10日ほど早いのか。しかも去年は同じ場所に植え…

雀始巣(ホームではなく)

雀始巣、すずめはじめてすくう。雀が巣作りを始める頃。 雀の巣をそういえば見たことがない。調べると、人の身長より高い位置の、屋根の下、庇の下、雨樋、信号機、電柱、交通標識、などに営巣するらしい。と書き出してみると、そういえば見たことあるかもし…

菜虫化蝶(生まれるなら秋がいい)

菜虫化蝶、なむしちょうとなる。青虫が羽化してモンシロチョウになる頃、とのこと。つい最近虫たちが動き出したばかりなのに、もう? と調べてみると、どうやら蛹の状態で越冬しているらしい。それが暖かくなってきて、そろそろね、と出てくるのがこの時期ら…

桃始笑(その花は)

桃始笑、ももはじめてさく。桃の花が咲きはじめる頃。 少し離れたところにピンク色の花が見えたとき、紅梅かな? 桃かな? 桜ではないよね? と思ってそのままになることが多いので、今回は桃と梅の見分け方を調べてみた。 まずは花、桃の花びらは先端のすぼ…

草木萌動から蟄虫啓戸(地面から春)

本日Twitterのタイムラインで「啓蟄」の二文字を見て、え…嘘でしょ? と慌てて七十二候を確認した私です、こんばんは。二日くらいどこかに落としてきた気分。完全に一候遅れループに入ってしまった。なのでもうまとめてやります。二十四節気またいでるけど気…

霞始靆(一候遅れ)

日付が変わってしまったので前回の七十二候。 霞始靆、かすみはじめてたなびく。霞がたなびきはじめる頃。 霞とは、空気中の水分が冷えて細かい水滴になり、空気の中をふよふよしている状態。それが春に現れやすいのは、前候で出てきたように土が水を含んで…

土脉潤起(それから獺祭魚)

土脉潤起、つちのしょううるおいおこる。 雨が降って土が潤いはじめる。二十四節気は雨水。これを書いている今日、関東各地でまた雪が降ったらしいけど、こちらではあられ混じりの雨で、パウダービーズのような白くてごく小さなあられがアスファルトの上をぴ…