芹乃栄(芹とその周辺)

2回続けて遅れるのはなんとか回避できそう。5日から始まった現在の七十二候は、芹乃栄、せりすなわちさかう。芹がもりもり生えてきますということらしいが、実際の旬はもう少し後で、まだ小さくて見つけにくいらしい。そういえば七草セットに入っている芹はだいたい小さい。

 

芹についてはこちらが詳しいのでここでは割愛します(以前も書いたけどお役立ちブログを目指しているわけではないので)が、今回私が気になったのはズバリ「芹とパセリの関係」です。

 

セリとパセリ、と並べるといかにも芹と葉芹のようだが、たしかパセリは英語でもパセリだったよな…と確認すると、やはり英語でpersley、語源はギリシャ語で「岩場のセロリ」とのこと。一方の芹の語源は「競り(競うように群生するから)」。つまり名前が似ているのは偶然ということになる。(ちなみに芹は英語でJapanese parsleyとなり、葉芹と芹というよりむしろパセリと和パセリだった)

名前が似ているのはたまたまらしいが、どちらもセリ目セリ科。親戚だ。同じセリ科の植物が、一方は西洋で、もう一方は東洋で、古くから似た名前で呼ばれていたという偶然。食感が「せりっ」としているから、という理由ならまだわかるけど、そういうことでもなく。

いや、そういう要素ももしかしたらあるのかもしれない。たとえば名前の候補がいくつかあったときに、その中から音としていちばんしっくりくるものを選ぶ、ということが、はるか昔のヨーロッパでも日本でも行われていた可能性もゼロではない。だって、芹もパセリも「せりっ」という感じするもの。

とはいえparsleyの発音は「パースリー」なので、「せりっ」というより「すりぃ」なのだった。それでも感覚的には近いけど。

パースリーが日本に入ってきたときに、芹の仲間っぽいからパスリではなくパセリでいきましょう、というふうに、敢えて芹に寄せてきた可能性はけっこう高いのではないかと私はふんでいる。

 

百人一首に収められている、

君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ

の若菜とは、春の七草をはじめとする、この時期に生え始める食用または薬用の草の総称だという。昔、この歌を初めて見たときは、3月頃の春の雪を歌ったものだと思っていた。早春の、ひらひらと大きなぼたん雪か、水分を多く含んだ重い雪。辺りは緑の野。しかしそうではなかった。若菜摘みは年始の行事、春は新春の春で、七草がゆをいただくまさにこの時期のことなのだった。

 

七草がゆは7日の昼に食べた。子供が生まれて初めて、家族3人で同じものを食べた。無病息災、今年もすこやかに暮らしていけますように。

 

せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ごはんつぶ、まぶたのうえで春がきらめく

 

 

 

ヒッキーヒッキーシェイク

ヒッキーヒッキーシェイク

 

 

パセリが英語であるという意識があったのは、そういえば「スカボロー・フェア」に出てくるからだった。パセリ、セージ、ローズマリー、タイム。というコードネームの引きこもり4人が活躍する↑の物語、本当に面白かった。去年の今ごろに読んだようで、日記に「とても晴れやかな気持ち。物語は私を救ってくれる」と書いてありました