草木萌動から蟄虫啓戸(地面から春)

本日Twitterのタイムラインで「啓蟄」の二文字を見て、え…嘘でしょ? と慌てて七十二候を確認した私です、こんばんは。二日くらいどこかに落としてきた気分。完全に一候遅れループに入ってしまった。なのでもうまとめてやります。二十四節気またいでるけど気にしない、もう気にしない。

 

ひとつ前が、草木萌動、そうもくめばえいずる。草木が芽生えはじめる頃。

そうもくめばえいずる。まさに春、という響き。足元には小さな草がどんどん生え、丈を伸ばし、花をつけている。オオイヌノフグリホトケノザ、それからごく小さな白い花(ノミノツヅリ?)、ハナニラもひとつだけ咲いているのを見かけた。日々散歩していると、木の根元から、ベンチの下から、じわじわと草が陣地を広げてきているのがわかる。

が、草木の「木」の方はまだまだ冬と変わらないように見える。もちろん梅は咲いたし桜の花芽も膨らんできているのだけど、落葉した木に新芽が芽吹いている様子はほとんど見られない。雪柳の細い枝に少しずつ黄緑色が見えるようになったくらい。林の中を歩いても、見上げれば枯れた枝ばかりだし、足元は積もった落ち葉で、全体的に薄茶色のままだ。

でも「草木萌動」という字面は、なんだか、草木のその体の中でエネルギーがうずうずしている感じがする。うずうずと外に出るタイミングをうかがっている感じ。見えないだけで、たぶん新芽はすぐそこまできているのだと思う。

 

続いて啓蟄の初候、蟄虫啓戸、すごもりむしとをひらく。暖かくなって地中にこもっていた虫が出てくる頃。

戸をひらく、というのがいい。小さな生き物が地面にある戸を開けて、やあ春だね、と出てくるのだ。

実感としてはその通りで、確かに最近、虫が飛びはじめた。蚊柱ほどではないけど、小さな虫が数匹まとまって、くるくると飛び交っているのを見かける。と書きながら気づく。もしかして、最近やたらとスズメを見かけるのもそのせいなのか。スズメは冬にもいたが、このところやけに多いし、川辺の草の上や常緑樹の枝の合間をアクティブに動いている。もしかしてあれは虫を捕まえているのか。単純に暖かくなったから元気なだけか。

 

二十四節気の雨水の初候に、土脉潤起、雨が降って土が潤う、というのがあった。

そこに続く候を見ていくと、霞始靆では土から立ちのぼる水蒸気で霞が生まれ、草木萌動では土の水分を得て草木が芽生え、蟄虫啓戸においては土から虫や蛙が出てくる、というふうに、土を起点として春が動いているのに気づく。偶然なのだろうか。それとも、母なる大地、大地母神のイメージなのだろうか。春は始まりの季節だから。

 

きみどりは生命の色 ひたひたと足元から春が生まれる

 

 

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今回、仮説めいた話ばかりになってしまったな