乃東枯(ひかりを連れて)

乃東枯、なつかれくさかるる。夏枯草、ウツボグサが枯れる頃。

今回は夏至の初候で、半年前、冬至の初候が乃東生、なつかれくさしょうず、であった。

 

 

↑読まなくても大丈夫です

 

いちばん夜が長い、陰陽の陰の極みである日、死にいちばん近い日、それはすなわちそこから陽に転じる始まりの日である、と書いていた。ということは、夏至は陽の極み、死からいちばん遠い、生命力の最も強い日、そしてここから陰へ転じていくことになる。

それなのに、まだまだ暑さはこれからが本番というのはどういうことなのだろう。日差しはこれからますます強くなり、植物はますます栄え、気温は上がる。なぜだ。今がいちばん太陽が高く、昼が長いなら、今がいちばん暑いはずではないか。

 

調べてみると、夏至が暑さのピークではないのは、大気や地表や海が温まるのに時間がかかるから、とのこと。特に海は温まりにくく、そのため島国である日本は時間差が大きくなる。真夏の方が日差しが強いというのもどうやら気のせいらしい。暑いからそう感じるだけで、光が強いのはやはり今の時期。紫外線量も8月より今頃の方が多い。ただ日本は梅雨で晴れる日が減るため、地上に到達する紫外線の量は真夏より少なくなるということだ。

梅雨。梅雨ね。北欧などで夏至祭が盛大に祝われるのは、夏至がまさに光の季節であるから(白夜も夏至の頃の現象だ)で、梅雨真っ只中の日本とは違うのだ。なんだか羨ましい気がする。纏わりつくような湿気もなく、焼け焦げるような暑さもない場所で、そんなふうに、夏至! 光! と喜んでみたい。日本の夏至はひたすら暑くなる過程でただ昼が長いだけの日に過ぎない(個人の意見です)。

 

今回、半年前の記事を読み返してみて、初めの頃はずいぶん観念的なことを書いていたなと思う。最近は思い出話ばかりしている。観念的なことを書くには頭の中でじっくり煮詰める作業が必要で、それはとても楽しいのだけどいかんせん時間がかかる。時間がかかるといって距離をおいていたら、そちらのチャンネルに思考をつなげることが難しくなってきてしまった。ひとつの事柄をいろんな切り口で考えられるように、もっと頭を柔らかくしておきたいなあ、と思う今日です。

 

燃え盛る夏を見ないで枯れてゆく紫の花ひかりを連れて

 
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