雀始巣(ホームではなく)

雀始巣、すずめはじめてすくう。雀が巣作りを始める頃。

雀の巣をそういえば見たことがない。調べると、人の身長より高い位置の、屋根の下、庇の下、雨樋、信号機、電柱、交通標識、などに営巣するらしい。と書き出してみると、そういえば見たことあるかもしれない、という気もしてくる。標識の裏側に土っぽい草や枝が固まってくっついているのを見たような気がする。

 

シナントロープ、という言葉を初めて知る。人間の生活圏で、人間の生活にまつわるあれこれに依存して暮らす生き物のことをいうそうだ。カラスやツバメやハト(ドバト)、それからスズメもそう。人がいなくなれば、たとえそこに人工物が残されていても、そういうものたちはいなくなるらしい。

人間の生活環境に依存している、というくせにスズメは警戒心がとても強い。少し近づくとすぐ逃げるし、近づかなくても見ているだけで逃げるし、椿の木の中でチュンチュン賑やかにしているので姿を探して立ち止まると鳴き止む。そんな警戒しなくても、と悲しい。最近よく見かけるオシドリ(同じ個体)なんていくらでも写真撮らせてくれるのに、私の写真フォルダにはたぶんスズメの写真は一枚もない。毎日のように見かけているのに。

 

ところで鳥の巣は卵を産み雛を育てるためのもので、鳥たちは普段そこで寝起きしているわけではない、ということに初めて気がついた。巣、というと人間にとっての家、ホーム、というイメージだったが、違うのだ。繁殖期以外は巣など作らないし、親鳥はそこで寝たりしない(まれに巣をねぐらにする鳥もいるらしいが)。カップルの暮らす新居なんかをよく「愛の巣」と言うが、この文脈でいうと、単に愛し合うふたりが帰る家ということではなく、繁殖場所ということになってしまう。生々しい。蟻の巣や蜂の巣は住居だから、そちらの意味で使われている言葉だと思いたい。

 

ちなみに卵や雛のいる鳥の巣を勝手に撤去すると、鳥獣保護法違反になるらしい。卵を産む前ならセーフ、産卵されたら巣立ちまで見守るしかない。世の中には知らないことがたくさんあるなあと思いました(雑)


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よく見かけるオシドリさん

 

 

DODECAGON

DODECAGON

 

キリンは立って寝る、鳥は枝で寝る、とそういえば歌っていました(『Love is on line』)。巣では寝ない。