短歌の目8月(朽ちてゆく赤)
短歌の目、参加させていただきます。
(先月は日付変わってしまって間に合わず)
よろしくお願いします!
8月題詠 5首
1. 流
ぽつぽつと流れる花を追いかけてこんなに遠く 後悔はない
2. 囃
囃すように傷つけてきた八月の道のうえには今も満月
3. フラット
何度でも恋に落ちる 君が爪弾くGフラットメジャーセブンス
4. 西瓜
ひと月を冷蔵庫で眠ったままの西瓜の中で朽ちてゆく赤
5. こめかみ
こめかみの窪みにひたと指をあてきみの裡なる海にふれたい
テーマ詠「怪談短歌」
もうみんないなくなってしまったんだね 更地にゆらり白百合が咲く
赤い靴履いた少女は今もまだあの蔦の中 ほら、きこえる
怖い話は苦手なので、怪談を室内に持ってこられませんでした(本当になりそうな気がしてしまうので)
短歌の目7月(幾重にも)
今月も参加させていただきます。
よろしくお願いします。
7月題詠 5首
1. 透
太陽に透かしてみれば幾重にも幾千重にもつらなる私
2. ホイップ
水蒸気ホイップしてよ夏空に倦怠まとい白き塔立つ
3. 果
アスファルトぐらぐら煮えてまたひとつ夏に果てたるいきものの羽根
4. ペンギン
ペンギンに仮託せずとも私たち持ってるもので生きていくだけ
5. 短夜
星のない短夜だから今夜だけ白亜の森のあなたを想う
テーマ詠「あつい」
泣きわめく体を抱えいのちとはこんなに熱いものであること
短歌の目6月(そのつぎの町)
今月も参加させていただきます。
久しぶりに早めにできた! と思っていたけど、もう29日だし6月って30日までなので1日早いだけでした。なんだ。
題詠 5首
1. クリーム
自意識でがんじがらめの思春期よソフトクリームに歯をたて齧る
2. 溝
側溝を流れる闇のその先の地中ふかくに待つという君
3. 万緑
万緑にいのちみなぎり小さき背をしっかり抱く奪われぬよう
4. 雨
仄暗い森を歩けば森の息わたしの息で雨が生まれる
5. きみ
ふるさとの海岸線をかきまぜるきみつきさらずそのつぎの町
テーマ詠「衣服」
メイドバイ母の黄色いワンピース向日葵のようにアルバムに咲く
15歳 オシャレがなんだわれわれは緑ジャージの正義の味方
夏服のセーラーの衿が重いのは羽ばたきすぎないためのアンカー
さようならスモークピンク 君が見た曇天の下のさいごの私
繰り返すことが使命であるように70サイズの型紙を切る
去年あじさいのことを書いたけど、あれからもう一年経つのか、、と散歩中にあじさいを見て思いました
短歌の目4月(綿毛は笑う)
今月も参加させていただきます。
1. 皿
紙皿のうえにぽたりと日は落ちてああまた容赦なく夏が来る
2. 幽霊
日だまりの幽霊屋敷にふわふわと綿毛は笑う こっちへおいで
3. 入
地下室に入りきらない思い出や諦念がドライアイスのように
4. うそ(嘘、鷽、獺も可)
ごめん嘘 金平糖をばらまいて追いかけてくる夢から逃げる
5. 時計
はと、時計、いま、回りだす、水面に、人魚の白いてのひらゆれる
テーマ詠
テーマ「新」
眠るたび細胞すべてあらたまりその目に映るまっさらな朝
寝落ちして夜中の授乳後に慌てて仕上げております。真夜中のブルーライトの眩しさよ。
〆切に深夜という漠然とした時間を設定していただいたおかげで、もうこれアウトかしらと思いつつも勇気を出して投稿することができました。卯野様、ありがとうございます。
短歌の目3月(あまりに白く)
今月もぎりぎりです。どうぞよろしくお願いします。
題詠 5首
1. 草
春ならばしろつめ草の咲く団地 幼い私をみどりに染める
2. あま
手のひらはあまりに白く小さくて空へ向ければただただ未来
3. ぼたん
あの日々のすべてをさらっていった人 うすむらさきのぼたんのような
4. 鳥
鳥の影急降下して午後二時の眠りの街を切り裂いてゆく
5. 雷
はじまりは自分で決めた今ここに祝砲のように雷が鳴る
テーマ詠「捨」
結晶のふちどりの冬を脱ぎ捨ててどこかへ向かう君も私も
水が好き ひとりが好き 音楽が好き どこかに捨てたわたし、私は
もう3月31日って嘘でしょ、という気分です。
赤子の世話に追われ、退院や検診やお宮参りで外出した数日以外は、すべてパジャマで過ごした1ヶ月。
例によってテーマ詠はふたつとも過去に作ったものです…。あと鳥も。
ほそぼそと来月も続けてゆければと思っております。
短歌の目2月(あわいあおぞら)
ぎりぎりですが今月もよろしくお願いします。
題詠 5首
1. 洗
からからで息ができない薄皮を洗い流せる雨をください
2. 鬼
嘘つきで正直な眼の鬼たちは疲れた君にきっとやさしい
3. 入
入り口の狭さ暗さにあきらめたあの道をいつかだれかが通る
4. チョコ
義理チョコがファイヤーキングに変身し帰ってきた日 君よ元気か
5. きさらぎ
きさらぎのあわいあおぞら 思い出は融けてぴたぴた地面に落ちる
テーマ詠「夢」
甘い夢 手をつなぐ人のいることを甘い夢としか描けない今日
眠るたびふらふら出会う夢のなかピアノを弾いてあなたはうたう
みずからのあまいいきで眠りにおちるマスクのなかのマタンゴのゆめ
すいません、今月は駆け込みの推敲不足。テーマ詠に至ってはすべて過去につくったものだし。
つい先日、女児を出産して、現在入院中です。
来月はがんばります! …できるかな…!